pochitto’s blog

詩、雑感などを記しています。

「恰モ其処ニ在ルガ如ク」ってのは、創作において最も重要な要素なんじゃないか、と昨日のNHKスペシャル光琳・解き明かされた国宝の謎」を視聴して思った。
見逃した貴方の為に、Yahoo!テレビに掲載されていた番組内容の要約を無断転載。

光琳・解き明かされた国宝の謎」
NHKスペシャル◇江戸時代の天才画家、尾形光琳が描いた国宝「紅白梅図屏風」に先ごろ、科学のメスが入った。定説を覆し、300年ぶりに真の姿を見せた光琳の画業をたどる。昨年、東京文化財研究所では蛍光X線分析装置や高精細デジタルカメラなどを駆使し、紅白梅図屏風を徹底調査した。紅白梅図屏風は咲き誇る紅白の梅と黒く渦巻く流水が、金地を背景に大胆な構図で描かれた傑作。これまでは背景に金ぱく、流水部分に銀ぱくを張ったといわれていたが、両方とも使っていないことが判明したという。光琳は、金ぱくも銀ぱくも使わずにどうやってこの国宝を描いたのか。日本美術史研究の第一人者で東大名誉教授の辻惟雄氏ら専門家を迎え、その謎を推理する。

金箔を敷き詰めたと思われていた背景部分は、「かりやす」と呼ばれる植物染料の上に金泥を塗り、描いたものだと判明。箔足と呼ばれる、箔の重なりまで描いており、光琳の技巧の高さが改めて証明された。元禄当時に存在した「擬作」(偽作に非ず)の手法を取り入れたものではないか、と推測される。
また、銀箔をあしらったと思われていた流水部分も、染めの技術を用いて「染め抜かれた」ものだと判明。
では何故、あえて金箔を擬したのか?梅を描く際、金箔の上から描くと「垂らし込み」の技法が使えず、そのため敢えて金箔を描き、その上から梅を描いたのではないか。光琳の選択は極めて筋の通ったものであった・・・
という主旨の番組。

それにしても金箔を描いてしまうなんて、表現者としての次元が違いすぎる。改めてその画業の偉大さに敬服しつつ。