pochitto’s blog

詩、雑感などを記しています。

新たな/懐かしい視点

土・日・月にかけて「対称性人類学ASIN:4062582910
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冷静な視点から書評を書くことはしないでおく。
読後、「ああ、この場所に戻ってこれたんだな」という、安堵感を覚えた。
筆者は一時期ユング心理学に傾倒していた頃があって、それが10年ぐらい前だったか、その頃の懐かしさと無意識、心性を肯定的に捉える著述とに対して安堵感を覚えた、という事か。
本文中で展開される論考は、ややもするとアナロジカルに過ぎず、いわゆる「非対称」な視点から見れば反発を招きかねないものではある。だがしかし、筆者としては中沢氏の到達した未踏の/母なる岬に立って、洋々と広がる海原への航路を切り開きたい、その手助けが出来れば、という情動に駆られる。己を買い被り過ぎていることは分かっているし、僭越の誹りは免れ得ないだろう。だが、いわゆる「対称性」に深くコミットした身としては、中沢氏が切り開いた新たな/懐かしい視点の確かさに対して、賛同の意を表さずにはいられないのだ。