pochitto’s blog

詩、雑感などを記しています。

[poem]<儀式>
同人誌向けに、印刷することを前提に書いたもの。んん、余白がうまく再現できん。

<儀式>
ポチットナーー


TVの再現VTR
完璧に繰り返される猟奇犯の
残忍極まりない犯行手口
私の中の私は それを幾度となく繰り返す


 白いワゴン車で連れ去り
 おもむろに後頭部を殴りつけ
 失神したところで きつく縛り
 頚動脈に少しだけ傷をつけ
 数滴の血を流す
 1   2   3   4
     とつ  とつ  とつ

  とつ


 とつ



 次は深く切りつける 神経も腱も内臓もすべて
刃渡り20センチのサバイバルナイフで
 一定の間隔を置いて 何箇所も 何箇所も

 やがて疵口は幾何学模様を描き
 目を閉じれば万華鏡
  転回
  明滅
    静寂
    抱擁
 目を開きざま もう一度力任せに殴りつけ
 血で滑るまま<儀式>を始める


降り注ぐ赤黒い雨粒
青く凍える空
白い虹が懸かり 私はすべてと合一する
穢れたもの 清らなもの すべてと
1   2   3   4
    とつ  とつ  とつ

 とつ


とつ



祝
この瞬間



<儀式>を終えた私は
最早すべてを愛するだろう
幾億のモニタが映し出すものすべて

その画面を構成する粒子としての私
を遠くからぼんやり眺める私
約束された日々
再生産される<儀式>

そして繰り返される再現VTR
いつか私も主役となり
人々を導くだろう


雨は止み
空はいっそう凍える

私の中の私は
法悦のまま踊り狂う