pochitto’s blog

詩、雑感などを記しています。

僕は時のはざまで生きているとも死んでいるとも知れず


古本屋の片隅に埋もれた図録、レンブラント名作展、1968、僕の生まれる前に開催されたそれはレンブラントの絵画同様の輝きを失うことなくページを携えたまま眠りについていた、2005、8、10、巡りくる、僕は其処にいてページを開く、栞代わりに挟み込まれた1枚の賞状、昭和41年、名も知らぬ人、見知らぬ場所、見知らぬ時間、僕が呼吸したことのない空気は確かにそこにあった、僕は僕の見知らぬ時を前にして今を見失う、僕の足元に繰り広げられた今日というちっぽけな時の束はあっけなくほどけ、ばら撒かれた1秒1秒は透明なガラス片、その1枚1枚に閉じ込められて僕は崩れ落ちる、1968、昭和41年、見知らぬ人、僕、を閉じ込めたまま崩れ落ちる2005、8、10、神の視点から撮影されたスナップショットがやがて巨大な1ページを形作り僕は唐突に僕の視点に引き戻される、2005、8、10、僕は時のはざまで生きているとも死んでいるとも知れず、張り巡らされた糸の一端を握り締めてぎこちなく呼吸を取り戻す、散らばった破片は二度と元の場所に戻ることなく、モザイクのように、互いに軋みながら埋め尽くす、其処に結晶する、2005、8、10、偶然にして結晶し堆く積み上げられた、その場所を立ち去るとき、僕は時のはざまで生きているとも死んでいるとも知れず、時の束を綱渡る。