pochitto’s blog

詩、雑感などを記しています。

ポチットナーー以前

義母の容態は思わしくない。嫁さんがつきっきりで看病しているが、かなり厳しい状況との事。
ということで、9月初旬から家に一人きり。
寂しいので音楽かけながら掃除していると、古い詩が出てきた。日付は1999年3月。まだ2chも知らない、詩を書くのも手探り(それは今でもか)の頃だ。
懐かしいやらこっ恥ずかしいやら、複雑な気分になる。
ってことで晒しておく。

挑発する光、欲情する言葉
1999.3.25

オレンジ色のふくよかな乳房の艶めく香り、俺は青一色に縛られる。しかしそれは官能のあえぎに混ざってゆく、レモンイエローの夜に弾ける泡銭。辛子を噛み潰す、俺の奥歯、犬歯、両の前歯ども。
60年代は、1960年代は、LSDを最早食い尽くしたらしい、分け前に与かる浮浪者の靴が擦れる音を聞き違える奴らには、ビー玉の行く末を案じるほどの余裕はない。
ああ。
いぃ。
うぅ。
エェ!
オォ。
唇を忘れた言葉ども、俺は連中に唇の濡れた感触を思い出させる仕事にありついた。
まぁ。
ビーー。
むむ、
ペッ、
も。
四つ折りの紙幣を財布にしまう。
――ここのスロットマシンはいつだって左端だけ揃わねぇんだよな。見ろよ、まただ。――
聖パトリック祭にはおよそ似つかわしくない、真紅のガウンを着込んだ偽チャンピオン。お前に三位一体を説いたところで、溜池にドンペリを注ぐようなもんだ。
――溜池をいっそう濁らすだけだ!
そんな季節を尻目に、光は俺を挑発しつづける。偉大なる印象派の巨匠たちよ、色彩の分割はただ悩ましげな欲望を波立たせるための道具に過ぎない。それはスピードを上げて、俺の感じやすい部分を愛撫する。
黒い塊が白無垢を騙る姿を見たことがあるか?
それはお前の後姿、落胆とあきらめを踏みしめる己の姿。
色街に花咲く秘花にも似た、桃色液体の飲み残し。
女の口紅は、むしろ唇を離れて淫靡な色を放つ。
街路の真新しい看板に、加減なしで投げつけられた言葉の数々。夜の静寂に震えるように微かに響く、悦楽の呪文。すべての色は甘美な音をたて、その調べに乗せて欲情のスペルが俺に届き、俺は際限のない飽食を夢見る。