pochitto’s blog

詩、雑感などを記しています。

自分らしく

あなたの人生を変えよう?
変わるわけねえだろバカかよ

あなたは本当のあなたを知らない?
いや知ってるよ
クズでどうしようもない自分を

幸せをつかみとろう?
そんなもの転がっちゃいない
それこそ徒労に終わるんだよ

人間ってのはな
変われない生き物なんだよ
何時まで経ってもガキのままで
わがままで
融通が利かず
輝かしい成果なんて残せやしない
やる事成す事失敗だらけ

それでもなお
自分は自分らしくありたいし
それを貫き通したい

これまでの生き様は
恥じるようなものじゃない

誰かに言われて変わるような人生なら
とっくの昔に変わってる

変われない事
変わらない事

自分らしく生きることを
恥じることはない

冬空に輝く星座のように
ただそこに居れば良い

孤独の森

誰からも顧みられないまま朽ち果てていくもの
半分土に埋まったそれを掘り起こす
息も絶え絶えなそれを横たえ
そっと手を当てる

情熱は消えてはいない
ただ 力尽きただけ

絶望し打ちひしがれ
孤独の森を彷徨い
辿り着いた
その思いを
せめて私だけでも受け止めたい
よくやったと語りかけ
丁寧に埋葬する

朽ち果ててゆく
数多のそれと
未来の私を重ね合わせ
そっと
花を手向ける

寒々しい空に枯葉が舞う
見捨てられたこの森に
春が訪れる
その日を待ちわびながら

夢の君

 

夢の中で
君と出会った

君は人混みのなかから僕を見つけ
ねえ暇?
と僕に話しかけた
僕は一瞬驚いたけれど
君の悪気のない微笑みに
心を許した

僕と君は
何気ない会話をしながら
二人手もつながず
並んで街を歩いた

ねえ
お腹空いた
君がそういうから
僕はクレープを買いに
近くの店へ

その間に
君がどこかへ行ってしまいはしないかと
心配になり ふと君をみる
寂しげに遠くを見つめている
青く寂しげな眼差し

そんな僕に気づき
微笑みをくれる
暖かく優しい眼差し

僕はそのとき
君に見放されなかった事を
心から感謝した

ずっと見放され続けてきた僕だから
それだけのことが
うれしく思えた

君にクレープを渡す
おいしい、と君が言う
よかった、と僕が言う
たったそれだけの関係

ねえこれからどうする
と君が訊く
どうしよう
僕が呟く

どこかで休んでいく?
君が僕の顔を覗き込む
僕をからかっているのか
それとも本気なのか

それから君は僕の前に立ち
楽しかった
それじゃあね
と言った

僕も楽しかったよ
それじゃあね
本当はもっとそばにいたかったのに
嘘をついて見栄を張った

君は一瞬寂しそうな眼をして
それから街中へ溶け込んでいった

僕は君の行方を目で追いながら
それでも立ちすくんでいた

たったそれだけの
夢の中の出来事

君が誰だったのか
決して分かりはしないけれど

僕は君に
また会いたいと思う

君が望むなら
君が夢に現れるなら


そしてまた僕は
今夜も夢を見る

そして君を探すだろう
もう戻らない君を
青く寂しげな眼差しを
暖かい眼差しを
ずっと

 

コーラ

今日当たった客は
あたしに大事なものを撫でられながら
どうしてこの仕事始めたの?
とまじめな顔で訊いてきた

お金かな
ぶっきらぼうに返すと
お金ならもっと他に稼ぐやり方あるじゃん
どうしてこの仕事なの?
としつこく訊いてきたので
歯を立ててやろうかという衝動を必死で抑えつつ
ま、性格に合ってるし
と適当に返事をしておいた

それがずいぶんと大きくなってきた頃
君って淫乱?
といきなり訊いてきたので
なんだこいつ
と思いながら
知らない
などと白々しい返答をしつつ
より一層強く吸い上げると

ううう
と呻いて
妄想と現実が入り混じった液体を吐き出して
客は果てた

後に残るのは
どうしてこの仕事を始めたんだろうという
後悔の混じった
生臭くて
寂しげな
溜息

一人思い出しながら
コーラを飲んでる
夜風が
深夜零時を告げる

 

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数年に一度は書きたくなる、風俗にまつわる詩。

ポエジーはこういうところにも宿るんじゃないかと思ってる。

渚にて

 


             渚にて

             君想う

 

涙溢れる涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙
涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙
涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙
涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙
涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙
涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙
涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙
涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙
涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙濡れる涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙
涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙
涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙
涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙
涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙
涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙
涙涙涙涙涙涙流れる涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙
涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙
涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙
涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙
涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙
涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙
涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙溢れる涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙
涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙
涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙
涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙
涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙
涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙
涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙溢れる渚

 

波押し寄せる波波波波波波波波波波波波波波波波波波波波波波波波波
波波波波波波波波波波波波波波波波波波波波波波波波波波波波波波波
波波波波波波波波波波波波波波波波波波白い波波波波波波波波波波波
波波波波波波波波波波波波波波波波波波波波波波波波波波波波波波波



滴となり

波に
流され

海へ

還る

距離

手の届かぬ所に居る君の
温もりをどうやって感じれば良いのだろう

少しずつ離れてゆく私達の
引力をどうやって取り戻せば良いのだろう

あの日引き寄せあった唇は
もう二度と重なり合わない気がして

君に電話する
君の声が間近に居る

どうかこのまま話し続けさせて
私と君の心が重なるまで

 

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ソーシャルディスタンシング。それでも人は恋をする。

静かな街を満月が照らす
暗闇を恐れ眠れぬ子を見守るように

荒れ果てた街を満月が照らす
鎮魂の歌が遠くまで響き渡るように

雪に埋もれた街を満月が照らす
やがて来る春を思い出させるために

凪の海を満月が照らす
すべてを奪ったあの日の罪を赦すように

夜明けまで
瞬きもせず

 

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アフター3.11、アフターコロナにおける詩のありようを考えながら書いてみた。

それは人々が忘れかけていた(だが癒えきれていない)心の傷をあえて照らし出し、治癒を促す役割を果たすものになるように思う。